タイ王国の国旗は、赤・白・青(紺)の3色で構成されています。しかし、現在確認されている最古のタイ国旗は、全く別の色をしていました。
タイ国旗の歴史と意味・由来について解説していきます。
目次
タイ国旗の名称
タイ語で国旗は「ธงชาติ:トンチャート」といいます(「ธง:トン」は「旗(はた)」、「ชาติ:チャート」は「国家・国有の」という意味)。
従いまして、タイの国旗は「ธงชาติไทย:トンチャートタイ」といいます。
また、正式名称を「ธงไตรรงค์(トントライロング)」と言い、「3色旗」を意味します。
タイ人と国旗の話をする際には、一般的には「ธงชาติ:トンチャート(国旗)」という単語を用います。
日常会話では「ธงไตรรงค์(トントライロング)」という単語はあまり使われませんが、オフィシャルな場面、もしくは、三色旗(日本で言う日章旗・日の丸)と言いたいときだけ使用します。
「ธงไตรรงค์(トントライロング)」と言っても、相手に通じない場合もあると思うので「ธงชาติไทย:トンチャートタイ(タイ国旗)」という言葉を先に覚えておくのが賢明です。
※「ธงไตรรงค์(トントライロング)」は、2重子音が入っており発音が非常に難しいです。発音が綺麗なタイのテレビアナウンサーは「トントライロン」と発音できますが、一般的には(特に日本人の発音では)「トンタイロン」と言った方が通じます。
タイ国旗の色とサイズ(長さ・高さ)
タイの国旗は「赤・白・青」で構成されています。
正確なタイ国旗を覚えやすくするために、色が微妙に違う2つの国旗を並べてみました。
正しい国旗は、左右どちらでしょうか?
「タイ国旗」と検索をかけると、ほぼ右側の国旗が出てくると思います。
しかし、正解は左側が正式な国旗の色となります。
タイの国旗は「แดง:デーン(赤)・ขาว:カーオ(白)・น้ำเงิน:ナムグン(青)」の三色旗というのが共通の認識ですが、正確には「褐色・白に限りなく近い灰色・紺色」です。
タイの国旗を正確に描こうとすると、標準の白(RGB 255 255 255)が使えず、わざわざ白に近い色で塗る必要があります。
とはいっても、そんな面倒な事をする必要はなく、一般的には「赤・白・青」で描かれており、正式な色で描かなくても大丈夫です。
但し、お金を掛けて「大旗」を作る際には、正式な色で作成するのが良いと思います。
1979年に制定されたタイの国旗法に基づいたタイの国旗は以下のように定められています。
タイ国旗の色(RGB)と縦横比 | |
---|---|
縦横比 | 6:9 |
赤 | 165 25 49 |
白 | 244 245 248 |
紺 | 45 42 74 |
上記のタイの国旗の色は、分かりやすい(作図しやすい)ように「RGB」で表現しています。
RGBは絶対値による色の表現法に対して、実際のタイの国旗法では相対値法の「Lab色空間」で定められています。
しかしながら、誤差範囲も定められているので、厳密に言えば白色部分は「真っ白(255.255.255)」にはなりえません。
タイ国旗のサイズは縦横比が「縦:横=6:9」で定められています。
「2:3」でいいじゃん?と思うかもしれませんが、その通り「2:3」でいいです。
タイの国旗は上から順に「赤・白・青・白・赤」になっています。
この比率が「赤・白・青・白・赤=1:1:2:1:1」となっているため、計算しやすいように「6:9」となっています。
タイ国旗の意味と由来
タイの国旗のそれぞれの色の意味は、下記の通りです。
- 赤:国家のために犠牲になった血
- 白:仏教・宗教の純粋さ
- 青:国王・君主のパーソナルカラー
それが転じて「赤はタイ国民、白は宗教(一説によるとタイ建国の伝説に登場する白い象に由来)、青(紺)は君主国(国王)」を表しています。
- 国旗名:トン・トライロング(三色旗)
- 英語名:Thong Trairong
- タイ語名:ธงไตรรงค์
- 赤色:タイ国民
- 白色:宗教(一説によると白い象)
- 紺色:君主(国王や王族)
また、上記写真にもありますが、タイの街中を歩いていると、タイ国旗の他に黄色の旗と水色(青色)の旗を目にすることがあります。これら、2色は王族の旗で、黄色は王様の色で、水色(青色)は国王妃の色になります。
タイでは、「王様はお父さん」、「国王妃はお母さん」とされ、父の日、母の日にはそれぞれの色の旗や服が町中にあふれます。また、タイの国王行事で政府関係者等が黄色の服を着るのはそのためです。
タイ国旗と似ているコスタリカ国旗
世界中にはトリコロールカラー(三色旗)の国旗は多くあります。
その中でも、タイ国旗とコスタリカ国旗は同じ横向きの三色旗、かつ、赤・白・青を使用しているので非常によく似ています。
タイは赤、コスタリカは青が一番上となります。
タイ国旗の日
現在のタイの国旗である3色旗は、ラーマ6世時代の1917年9月28日に初めて法律として明文化されました。
現在のタイ国旗誕生の100周年を機に、2017年から毎年9月28日を「タイ国旗の日」として制定されました。
国旗の日には、午前8時の国歌斉唱と共にタイ国旗の掲揚を同時に行い、国旗に対する意識を高めるとされています。
タイ国旗の歴史
アユタヤ王朝時代~1782年(1851年)
タイ(サイアム)で、現在確認されている最古の国旗。
アユタヤ王朝時代から、前王朝であるトンブリー王朝まで使用された。
長方形の赤い無地の旗。
1782~1809年
現王朝であるチャクリー王朝(ラッタナコーシン)のラーマ1世時代に制定された国旗。
以前に使われていた赤い長方形の真ん中にチャクラ(車輪)が追加された。
1809~1851年
ラーマ2世時代に王の象徴である白い象がチャクラの中に描かれた。
この国旗は王室のみのもので、民間用は赤の無地の国旗。
1851~1916年
ラーマ4世時代に王室と民間用の国旗を統一。
チャクラが外され、赤地に白い象の国旗に変更。
1916~1917年
ラーマ6世時代に国旗の一部を変更。
象が台座の上に。
1917年
同じくラーマ6世時代に象が描かれた国旗は製作が難しく普及しなかったため、
簡素な赤と白の縞模様に変更。
これが、現在のタイの国旗の白い部分が象から来ているとの由来。
1917年~現在
同年に真ん中の赤色部分を、国王の色である青色に変更。
この国旗が、100年経った現在でも使用されている。
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タイ国旗のイラスト
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白い象の国旗が見られる場所
タイ国旗マニアの方は、白い象の国旗を探している方もいると聞きます。
赤色に白の象が描かれている旗は、海軍の旗として用いられた過去があり、バンコク近郊だとサムットプラカーン県にある「プラサムットチェディー」近くの「ピースアサムットフォート」という旧要塞で見ることができます。
※プラサムットチェディー・ピースアサムットフォート
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プラサムットチェディーへの行き方
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